【医師監修】切迫流産の原因・症状・治療法!腹痛や出血発症時期はいつ?

 専門家監修
公開日:2017/09/28
更新日:2018/11/16
【医師監修】切迫流産の原因・症状・治療法!腹痛や出血発症時期はいつ?
監修
山田美恵先生
賛育会病院 産婦人科部長

切迫流産というトラブルがあることは知っていても、「どんな症状なの?」「流産しちゃうの?」実際にはどんなトラブルなのかわからず、不安になる妊婦さんも。しかし、「切迫流産」と診断されても、そのまま流産してしまうとは限りません。切迫流産の症状や安静と指示されたときの過ごし方について、ドクターが解説します!

切迫流産の治療法・対処法

基本的に安静にすること。薬が処方されない場合もある

張り止めなどの薬が処方されることもありますが、12週未満では経過を見守るしかないこともあり、処方しない病院もあります。感染症やママの病気が原因の場合は、抗生物質など必要な薬が処方されます。

「安静」といわれたときの過ごし方は?入院することもある?仕事にいってもいいの?

切迫流産と診断されても、安静の程度は症状によって異なります。医師の指示に従い、わからないことは確認しておきましょう。「出社してもかまいませんが、腹痛があれば休んでください」といわれる場合や、「自宅安静」「入院」など安静のレベルはそれぞれです。いずれも無理は禁物です。

「自宅安静」ってどんな過ごし方?流産の予防方法と注意点

ひと口に「自宅安静」といっても、「食事やトイレ以外は寝ていて」「簡単な家事ぐらいならOK」など、安静の程度は症状によって異なるはず。動いてしまって症状が進まないよう、具体的に確認しておきましょう。

自宅安静になるのはどんなとき?

・少量の出血やおなかの痛みがあるものの自宅で安静にできる環境が整っているとき ・子宮筋腫など子宮トラブルがない人 ・前回の妊娠で子宮頸管無力症、習慣流産などの経験がない人 ※病院や主治医の方針で異なることもあります。

○ 自宅安静でしてもよいこと「入浴や身の回りのことはOK!」

●入浴/長風呂になって疲れないよう注意して 感染症を予防するためにも、清潔にすることは大切です。さっとお風呂に入ったり、シャワーを浴びるぐらいなら大丈夫。長く入っていると疲れるので短めにするのがベター。

●洗面や歯みがき/妊娠中は虫歯や歯周病が増えやすいもの 妊娠中は、虫歯や歯周病などの口腔トラブルが増えやすい時期。清潔を保つためにも、きちんとしましょう。おなかの張りや痛みがおさまっている時間帯にするのが○。

●料理や掃除/身の回りのことをするぐらいはOK 普段過ごす部屋の簡単な掃除、短時間ですむ食事の支度ぐらいなら、まず問題ありません。大掃除や長い時間キッチンに立って作業するなどはやめておきましょう。

●パソコンや携帯メールを打つ/疲れない程度にとどめましょう 外に出られないとき、友だちや家族とのメールが楽しみのひとつ、という人も多いようです。あまり根を詰めすぎないよう、疲れない程度にするなら問題ないでしょう。

△ 自宅安静になったらできればしないほうがいいこと「体に負担のかかることは最小限に」

●階段の上り下り/ほかの手段があるならそのほうがベター 1~2階程度の上り下りなら問題ないはずですが、エレベーターなどがある場合は利用したほうが安心。どうしても使う必要がある人は、休みながらゆっくり上って。

●買い物や散歩/必要最小限にとどめるのが安心 「自宅安静」といわれている間は、できるだけ自宅で過ごすのが○。症状がおさまるまでの間は、どうしても行かなければならない場合など、必要最小限にとどめておくのが安心です。

●上の子の抱っこ/苦しくないよう座って抱いてあげて 妊娠中、気持ちが不安定になる子も多いので、なるべく抱っこしてあげたいもの。座って、おなかを圧迫しないように抱っこするなら問題ありません。無理のない程度でしてあげて。

●布団の上げおろし/できれば家族などにお願いするのがベター 布団の上げおろしや家具の移動など、力が必要な仕事はなるべく控えたほうが安心です。してもらえる家族がいるなら、症状があるときだけでもお願いしましょう。

✖ 自宅安静でしちゃダメなのはこんなこと。くれぐれも無理はしないで!

●重いものを持つ/腹筋を使うのはやめましょう 重いものを持つとおなかに圧力がかかり、子宮が収縮を招くことにつながります。重いものの買い物などは、家族に頼むか宅配などを利用し、自分で持つことはやめましょう。

●トイレでいきむ/便秘を解消することも大切です トイレで便を出すためにいきんだぐらいで生まれてしまうことはまずありませんが、張りや出血がある場合は控えめに。スムーズな便通のために、便秘の予防・解消も大切。

●セックスする/出血や張りがあるときはやめましょう 切迫流産・早産の診断を受けているときは、セックスはやめておきましょう。おさまったあとならしても問題ありませんが、感染症を予防するためにも、必ずコンドームをつけるようにして。

《先輩ママアンケート》「自宅安静」の指示で大変だったことは?

・なるべく安静にとのことでしたが、仕事を続けていたのであまり安静にできませんでした。(Aさん)

・動かないでといわれても、2歳の上の子がいたので、現実には不可能(Pさん)

・家事は夫もやってはくれましたが、やっぱり気になって動いてしまったことも。じっとしているのが苦手なので動けなくてイライラしました。(Mさん)

・家にいても仕事のことが気になって落ち着かないことも。(Nさん)

「入院安静」ってどんな過ごし方?流産の予防方法と注意点

入院安静のときの過ごし方は、時期と症状によって4つのレベルに分けられます。いちばん軽い「病院内安静」から、「病棟内安静」「室内安静」、そして、最も安静度が高いのが「ベッド上安静」です。 レベルによって過ごし方も変わりますし、病院の方針によっても異なるため、自分の入院している病院で、どの程度の安静なのかを確認しましょう。

入院安静の過ごし方レベル

■ベッド上安静 最も安静度が高く、トイレもベッド上ですることに。子宮頸管無力症や破水の人はこのケースになることも。精神的負担も大きく、ベッドの上で無理なくできる気分転換法を見つけることが大切です。

■室内安静 自分の入院している室内だけなら歩いていいというレベル。室内にトイレや洗面所がある場合は、自分で歩いていくことができます。

■病棟内安静 病棟の中なら歩いてもOK。ムリのない範囲でなら、新生児室に赤ちゃんを見に行ったり、ほかの妊婦さんの部屋におしゃべりをしに行くなどの行動が可能です。

■病院内安静 入院の中では最も安静度が低いレベル。隣の棟に行く、病院の庭を散歩する、なども可能に。入院安静が必要な症状ということに変わりはないので、動きすぎるのはNG。

入院中の身の回りのこと、どこまでOK?

●歩いてトイレに行く

ベッド上安静……✖
室内安静……△
病棟内安静……○
病院内安静……○
ベッド上安静の場合は、トイレに行くこともNGなので、ポータブルトイレや導尿することに。室内にトイレがある場合は室内安静より軽い人はOKに。

●洗面や歯みがき

ベッド上安静……△
室内安静……○
病棟内安静……○
病院内安静……○
洗面が室内にあるか、別の場所にあるかによっても異なります。
ベッド上安静の場合は、洗面や歯みがきもベッドの上ですることになります。

●シャワーを浴びる

ベッド上安静……✖
室内安静……△
病棟内安静……△
病院内安静……△
点滴をしている場合、一時的にはずしてシャワーを浴びられるかどうかは、症状と病院の方針によって異なります。スタッフに確認してみましょう。

入院中の過ごし方、どこまでOK?

●ベッド上でテレビを見る、本を読む

ベッド上安静……○
室内安静……○
病棟内安静……○
病院内安静……○
入院中でも、ベッドの上でテレビを見たり、本を読んだりすることは、まず問題ないでしょう。ただし、長時間続けると疲れてしまうので、無理をしない程度に。

●ベッドの上でパソコンや携帯メールを打つ

ベッド上安静……△
室内安静……○
病棟内安静……○
病院内安静……○
ベッド上安静でも「ベッド上でなら座っていい」「できるだけ横になったまま」など過ごし方が違うことも。OKの場合も、疲れないように短時間にとどめましょう。

●手紙や日記を書く

ベッド上安静……△
室内安静……○
病棟内安静……○
病院内安静……○
ベッドの上に座ることができるなら、手紙や日記を書いてもいいでしょう。書くことはストレス発散にもなるため、根を詰めないよう、適度に楽しんで。

●お見舞いの人とおしゃべり

ベッド上安静……△
室内安静……○
病棟内安静……○
病院内安静……○
病室にお見舞いの人が入れるなら、疲れない程度におしゃべりを楽しむのは問題ないはず。ベッド上安静の人や、室外の談話室などに行く必要のある場合は相談を。

入院中の移動や散歩はどこまでOK

●院内の売店へ行く

ベッド上安静……✖
室内安静……✖
病棟内安静……△
病院内安静……○
病棟内に売店がある場合は、病棟内安静の人でも○ですが、必要なときだけ行くのが安心。ベッド上安静と室内安静の人は、買い物は家族などに頼みましょう。

●病院の敷地を散歩する

ベッド上安静……✖
室内安静……✖
病棟内安静……✖
病院内安静……△
病院内安静の人で、症状がおさまっている場合は、医師の許可があればできることも。ただし、無理すれば悪化する可能性もあるため、短時問の気分転換にとどめて。

《先輩ママアンケート》「入院安静」の指示で大変だったことは?

・食事のとき以外は座るのもNG。重力がかかるのはよくないと、座っているのもダメだったことに驚きました。(Mさん)

・いつ退院できるか不安でした。つわりが続いていたので食事のニオイで気持ち悪くなったり、夏なのに退院前日までシャワーが浴びられなかったりと大変なことがけっこうありました。(Yさん)

・つらく感じる自覚症状はなにもないのに、病室に閉じこもっていなくてはならないのが苦痛でした。(Mさん)

切迫流産と診断されても解除されることもある?

切迫流産と診断されて「安静に」と言われても、その後、症状がおさまれば安静を解除されることもあります。いずれにせよ、妊娠中の無理は禁物。医師の指示に従いましょう。

《先輩ママアンケート》おさまったあとはどんなふうに過ごしていた?

・おなかの張りに気をつけながら出産5日前まで仕事を続けられました。(Aさん)

・自分の体からのサイン(疲れや腹痛など)に注意して過ごすようになりました。(Mさん)

・仕事は時短勤務にして、ストレスをへらす努力をしました。(Rさん)

・体を冷やさないように、少しでも胎内環境をよくするように努めました。(Nさん)

先輩ママの切迫流産体験談

【妊娠5週のとき】妊娠判明と同時に切迫流産と診断されました

切迫流産と言われたときは、生理痛のような下腹部痛があり「せっかく妊娠したのにダメかも」と、とても不安でした。直前まで仕事で忙しい毎日を送っていたので、そのせいもあったのでしょうか。夫や両親も妊娠を喜びつつも、とても心配していたようです。 妊娠14週まで張り止めの薬を飲み、「なるべく自宅安静。長時間の立ちっぱなしや重いものを持つのはNG」という指示。上司と相談してできる仕事は家でさせてもらい、出社した日も早く帰るように。家についても、仕事が気になって落ち着かないこともあって困りましたが、無理しないよう気づかってくれた職場の同僚、心身ともにサポートしてくれた夫のおかげで、赤ちゃんの生命力を信じて乗り切ることができました。(Yさん)

【妊娠9週のとき】行動的なタイプなので、動けなくてイライラも

ごく少量でしたが、出血があったのですぐに病院へ行きました。切迫流産と診断されたときは、不安と心細さと、自分の生活スタイルが原因なのかもしれないと落ち込みました。仕事でしかたがないこととはいえ、寒いなかを歩いたり、家事や日常生活でもよく動いたりしていたので……。 自宅で1週間は、「食事とトイレ、お風呂以外は寝ていて」といわれたのですが、もともと動くのが好きなのでイライラしたことも。家事が気になって、洗い物や洗濯などはちょっとしちゃいました。出血は1回だけでしたが、その後は自分の体からのサイン(疲れや腹痛など)に注意しながら過ごすようになりましたね。(Mさん)

【妊娠9週のとき】赤ちゃんからの「休んで」というサインだったのかも

職場で、いつもと違うだるさと気持ち悪さを感じて早退。家で休んでいると、出血と子宮がキューッとするような違和感がありました。病院に電話したら、翌日受診するようにいわれたので、翌朝、病院へ。切迫流産と診断され、その後は1週間仕事を休み、トイレ以外は家のベッドで過ごすことに。 安静中、買い物はネットスーパーに頼み、つわりで眠い時期でもあったので、ほとんど1日寝ていました。不安でしたが、夫の「赤ちゃんが『ママ休みなよ』といってくれているんだよ」という言葉に安心。その後は出血などのトラブルもありませんでした。気持ちをゆったりもって、必要なときは安静にすることが大切なんですね。(Rさん)

【妊娠18週のとき】強い腹痛で受診し、そのまま入院に

強い筋肉痛のような、ズキズキしたおなかの痛みで受診すると、即入院に。トイレと洗面、食事以外は1週間寝たきりで、寝るか食べるかテレビを見るかの毎日。流産するかもという不安と、急に仕事を休んで迷惑をかけてしまう心苦しさでいっぱいなのと、まさか自分が入院なんて想像もしていなかったので、夢ならさめてと思いました。 点滴しているので着替えるのもひと苦労だし、張り止めの薬の副作用で動悸が激しくなって慣れるまで苦しかったし、いろいろありましたが、夫が仕事を早く切り上げてきてくれるのがうれしかったですね。新生児室の赤ちゃんを見て、あらためて「赤ちゃんに会いたい!」と思い、そのためにも安静にして早くよくならなくちゃと自分を励ましました。(Mさん)

先輩ママから切迫流産になった人へのアドバイス!

・無理はしないこと。赤ちゃんを守れるのはママだけだから!(Yさん)

・自分ができる注意はして、あとは赤ちゃんの生命力を信じて。あまり心配しすぎないで!(Nさん)

出典 :First Pre-mo(ファーストプレモ)2017年春夏号 ※情報は掲載時のものです

監修
山田美恵先生
賛育会病院 産婦人科部長
順天堂大学医学部卒業。同大学附属順天堂医院産婦人科をへて、2006年より現職。専門は周産期。妊婦さんたちの健やかなマタニティライフをサポートしている先生です。

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